社長インタビュー ー第3回ー

―設備設計はどんな設計をされているのでしょうか。

おそらく多くの方にあまりなじみのない言葉ではないかと思います。
実際の話ですが、面接に来られる方に聞いても「求人票を見るまで知らなかった」とか、「言葉だけは聞いたことがあったけど、内容までは詳しく知らなかった」という方が多いです。

建築の設計を目指される方は、意匠設計を目標にしていると思います。
意匠性、デザイン性というと、設計の花形のイメージがあって、かっこいいですからね。それに比べて、設備設計というのは、目に見えない部分の設計をやっているので、どちらかというと裏方のようなイメージになってしまいます。

しかし、設備設計がないと、どんな建物も建てられませんし、改修の時も必ず必要になってきます。また、昨今のZEB化への動きから見ても、設備設計への要望はかなり高くなっています。

―もう少し具体的なイメージを教えて下さい。

設備設計は大きく分けて、電気設備設計、機械設備設計があります。
簡単に説明しますと、電気設備設計は照明、受変電設備の設計を行います。機械設備設計は、空調や換気、給排水や衛生設備の設計を行います。

それぞれ専門性を持った分野ですから、それなりの知識や経験が必要になってきますので、電気設備ならその方面、機械設備ならこの方面と専門性をもって仕事をしています。

―かなり難易度が高い仕事のようですが。

専門性があるから、必ずしも難易度が高いとは言えないと思います。しかし、その専門性ゆえに実際に業務を行っている人が減っているというのは事実です。

例えば、一級建築士の登録人数は約375,000人(令和4年度実績)です。それに比べて建築設備士は40,000人を切って(令和6年度実績)いますので、設備設計に携わっている人がいかに少ないかが見て取れます。
もちろん人数だけで単純な比較は出来ませんが、それでも大まかな数字は掴めると思います。

―どうして携わる人が少ないのでしょうか。

専門性もあるかも知れませんが、それよりも「設備設計という職種を知らない人が多い」ということです。面接に来られる方(建築関係の方)でも知らない方がいる、というのが現実なので、私たちは設備設計を知ってもらう、理解してもらうところから始めています。

あとは、建築業界全体にみられる技術者の高齢化という問題があります。設備設計業界でも高齢を理由に引退する人が増えている、というのも事実です。
それに比べて、設備設計を目指そうとする人が少ないという現実が重なって、建築設備士の登録者数は増えてはいません。

―建築設備士とは、どのような資格ですか。

私たちは、公共建築の設計を多く行っています。そのため、設計技術者には資格要件が問われるので、何らかの資格が必須となってきます。
意匠設計であれば「一級建築士」が求められるように、設備設計では「建築設備士」が必要となってきます。

建築設備士を簡単に言うと、建築士の求めに対して、建築設備の設計、監理に関して適切なアドバイスを行い、建物の安全性を確保するという国家資格です。
具体的には建築士法に定められていて、一例をあげると、延床面積2,000㎡を超える建物の設備設計や工事監理については、建築設備士の意見を聞くように努力義務が課せられています。他にも細かな規定はありますが、最近の建築設計は高度化、複雑化しており建築設備士への需要も年々多くなっているのが現実です。

取得までの道のりは厳しいかもしれませんが、資格は一生付いてきます。会社としては、いろんな面からサポートして取得出来るような体制を作っているので、ひとりでも多く取得できるよう頑張って欲しいですね。

―これから設備設計を目指そうとしている方に一言お願いします。

意匠設計だけが建築設計ではなくて、構造もあれば、設備もあります。そして、世の中の流れから設備設計の重要さが際立ってくるのは間違いありません。

私たちはそんな業界の中で働いているので、一緒に設計の楽しさ、仕事の面白さを感じて欲しいですね。