社長インタビュー ー第4回ー

前回は設備設計についてお聞きしましたが、御社では意匠設計の部署もありますね。

将来的には組織事務所を目指したくて、5年前に意匠設計の課を作りました。

元々、設備設計事務所としてスタートしていますから、意匠設計が加わると相乗効果が出てくると思いました。ですから、どうしても意匠設計の課が必要だったのです。

そのメリットは、意匠、設備の設計はワンストップで完了するということです。

どちらかを外注に出していると、連携(BIM含む)やコミュニケーションの部分で不都合が生じる事もありますが、同じフロアで作業しているので、その点を解消出来ます。この効果は思ったよりも大きくて、もっと早く作っておけば良かったと思っています。

今は、意匠よりも設備設計の技術者の方が多いので、京都市内でも珍しい形態で設計を行なっているのではないでしょうか。

―昨今の人手不足はよく聞きますが、技術者の数は増えているのでしょうか。

前回お伝えしたように、設備設計の人員の確保はとても難しいです。意匠設計の希望者は絶対数が多いので、面接する機会も増えていますし、入社する人も少しづつ増えています。
しかし、設備設計については募集しても応募者がほとんどいないので、4年ほど前から若い方に入社してもらい、社内で育てる方向に舵を切っています。

応募があった時や、面接の際にも、設備設計の魅力を伝えてこっちを向いてもらう、ということを続けて若手社員の確保に努めています。

―若手人材を採用するにあたって、どのような基準で決めているのでしょうか。

意匠設計の技術者は、実施設計の経験者を優先に採用をしています。

設備設計については、経験者はほとんどいませんので、木造住宅の設計経験者、意匠設計の経験者、施工会社で経験のある方、設計補助の経験のある方など、建築に関わる仕事をされていた人やその仕事を目指したい人を中心に面接しています。

面接で重視しているのは、スケジュール管理をしっかり行えることや、施主さんとのコミュニケーションがちゃんと出来る人かどうか、を見極めるようにしています。

この段階で、ある程度図面が書けるとか、設備の基礎知識があるとか、CAD操作は十分であるとか、には拘っていません。これらのスキルは入社後でも取得できるものです。

それよりも大切なものは、人物的に成長の見込める人かどうか、向上心を持って仕事に取り組める人かどうかです。
「謙虚と素直であること」も採用する上での重要ポイントであると考えています。

―経験の浅い人を採用された場合は、どのような教育をされているのでしょうか。

出来るだけ年齢の近い人を教育担当者として配置します。1年以上はその担当者と一緒に仕事をして、設計の流れ、やり方等を勉強してもらいます。

加えて「キャリアアップシート」を上司と一緒に作成してもらいます。

これは入社してから3ヶ月後、6ヶ月後、1年後~3年後までの成長を、それぞれの通過点で「自分がどうなっていたいか」をシミュレーションしてもらい、それを確認していくものです。

人によって成長度は違ってきますから、その人に合ったスケジュールを組んで、上司と一緒に歩んで行けるようにしています。

また、定期的に、社内で勉強会を行い技術力UPや基礎力の向上に努めています。講師は社内のベテランが務めますので、質問等があればいつでも聞ける環境は整っています。

―社員の定着率を上げるために、他社にない工夫はありますか。

魅力ある会社を目指しています。言葉で言うのは簡単ですが、実際はかなり難しいです。

技術者集団なので、常に知識やスキルの向上が必要だと感じています。

建築技術の進歩は思うよりも早くて、例えば 、AI(人工知能)は建築設計のプロセスを広範囲で効率化できるようになります。また、施工管理の効率化やエネルギー効率の向上といった分野でもAIによる実現化が可能となります。

そんな中、みやこ設備設計では、意匠と設備でBIMの導入を進めています。

それぞれセミナー参加など個人レベルでの技量の向上は出来つつありますが、まだまだ実用化までは至っていないのが現実です。

しかし、意匠と設備のBIMを使える設計事務所は少ないので、その実現が可能となれば、他の事務所との優位性を保てるのではないか、と思っています。